【SF万華鏡】世界の空を駆け巡るSFの「天網」

2021.8.23
  • 順豊(SF)は今年3月に設立28周年を迎えました。30年足らずで世界に誇れる先進的な物流体制を整備できたのは、「天綱(航空輸送ネットワーク)」、「地綱(地上輸送ネットワーク)」、そして「情報綱(データネットワーク)」の3大ネットワークの構築に莫大な投資を行ってきたからです。

     

    弊社がこの3つのネットワークをどのように活かして皆様に総合物流ソリューションをご提供しているのか、このニュースレターを通して順次ご紹介していきます。今号ではまず、順豊航空(SFエアラインズ)、順豊科技(SFテクノロジー)と豊鳥科技(SF UAS)が織りなす「天綱」にスポットを当てます。

     

     

    順豊航空(SFエアラインズ)

    今なお続くコロナ禍の影響で世界的に宅配需要が激増し、物流サービスに大きな変化が起きています。2003年に中国で発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染拡大も当時の物流業界に大きな打撃を与えました。創業10年目を迎えたSFは中国内の陸路輸送を主力業務としていたため、平時のサービス提供が困難になりました。

     

    この時の経験から、弊社CEO王衛は「どんな状況でも安定した物流サービスを提供するには、自社機による輸送が必須だ」と痛感し、2009年2月にSFエアラインズを設立しました。こうして、中国初の自社貨物機を保有する民間貨物航空会社が誕生しました。現在、SFエアラインズが運航する80の貨物機(うち、66機がSFの自社貨物機)は毎日20以上の国際路線を往来しています。

    SFが現在保有している自社貨物機の機種および機数

     

    2020年は、他社機のチャーター利用を含めて2,130以上の国内及び国際路線で年間約137万の貨物便を運航しました。1日あたりの平均では3,700便以上の計算になります。また、この年の年間輸送総重量167.25万トンのうち、自社貨物機の輸送量が84.89万トンを占めており、対前年比46.7%増という高い成長率を記録しました。

     

    SF貨物機の豆知識

    SFエアラインズの初代貨物機の機体のメインカラーは黒色でした。しかし、黒色の機体は太陽光を吸収しやすいため、胴体の老朽化を加速させる恐れがあります。機体の耐久性を改善するため、2011年に現在の白色を基調としたデザインに変更しました。

    シックなデザインの初代貨物機                                   

     

    白色を基調とした2代目貨物機は2011年に就航

     

     

    自社ハブ空港「鄂州花湖空港」がまもなく稼働開始

    現在、SFエアラインズは本社のある深センをはじめ、杭州と北京にハブ拠点を置いています。増え続ける貨物量に対応すべく貨物取扱キャパシティーの増強を図り、現在は中国本土の中心地に近い湖北省鄂州(がくしゅう)に中国初の貨物専用空港「鄂州花湖空港」を建設中です。年内開港予定の同空港は国際民間航空機関(ICAO)の定める飛行場基準コードで4Eクラス*基準を満たす空港、そしてアジア初の貨物専用空港となります。また、5G、AI、ビッグデータなどの先端技術を導入した近代的なスマート空港でもあります。SFが自社ハブ空港を所有することで、輸送力の増強と大幅なコストダウンが期待されます。

    *4Eクラス空港:滑走路の長さは1800メートル以上(1800メートルを含む)、最大翼幅52-60メートルと離着陸外輪の外側距離9-14メートルの大型飛行機を利用できる空港

    鄂州花湖空港概要

    空港ターミナル延床面積:約15,000平方メートル

    貨物エリア延床面積:約23,000平方メートル

    仕分けエリア延床面積:約678,000平方メートル

    駐機場数:153スポット

    滑走路:3,600 x 45メートル

     

    中国本土の中心に近い湖北省に位置する鄂州花湖空港は、本土の90%に対応可能な中国最大の物流拠点になります。当空港から国内各主要都市への飛行時間が2時間以内であるため、配送リードタイムが大幅に短縮されます。当空港の年間貨物/郵便の取扱貨物量は2030年には330万トンに達する見込みです。

     

     

    無人航空機(ドローン)を開発する順豊科技(SFテクノロジー)と豊鳥科技(SF UAS)

    未来の物流需要を見据えて、SF傘下のSFテクノロジーは2013年に物流専用の小型ドローンの開発に着手しました。さらに、2017年に大型ドローンの開発に取り組むSF UASを設立しました。

    SF20183月に中国初のドローンの飛行ライセンスを取得しました。現在、最新のAI技術を駆使したドローンを使用して、中国の江西省贛州(かんしゅう)、四川省カンゼ・チベット族自治州、上海、浙江省舟山・金山、湖北省武漢、広東省深セン・東莞・珠海などで集配業務を展開しています。SFのドローンは農産物、生鮮食品輸送やJITJust-in-time)サプライチェーン支援などの物流サポートに留まらず、緊急災害救援対応、緊急医療支援など、さまざまな場面で活躍しています。また、道路事情が悪い僻地へのコロナワクチン輸送も担っています。道路封鎖やロックダウンによる外出規制の影響を受けることが無いのが、ドローン輸送の強みです。

     

    SF UASが開発したFH-98は、中国の物流業界で最大積載量をもつ商用ドローンです。

    最大離陸重量:5.25トン 最大容積:15立方メートル
    飛行高度:4500メートル 最大航続距離:1200キロメートル
    時速:180㎞  

     

     

    まとめ

    SFの天網は現在「SFエアラインズの貨物機による幹線輸送」、「SF UASの大型ドローンによる支線輸送」、そして「SFテクノロジーの小型ドローンによる僻地向け端末物流」の三本柱に支えられています。今後は、このネットワークをさらに拡充させ、中国国内においては2022年までに主要都市からリモートエリアへの配送所要時間の大幅短縮を目指しています。

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