【中国よもやま話】日本人と中国人の人気旅行先、バンコクの今の状況は?

2022.10.5
  • バンコクの著名寺院、ワット・ポー近くにあるカフェの「青いラテ」。コロナ禍前はインスタ映えするスポットとして海外旅行客に大人気でした。

     

    秋の行楽シーズンを迎え全国旅行支援が10月11日に始まり、旅行ムードが高まってきました。一方、中国はゼロコロナ戦略を維持し、入国者は自費で7日間のホテル隔離+3日間の自宅もしくはホテルでの健康観察が義務付けられているため、今も渡航は容易ではありません。

     

    中国のある企業はコロナ前まで1万人以上の関係者を国内外から招いて上海で年次大会を実施していましたが、2020年、2021年は感染症対策でオンライン開催でした。そして今年も中国での開催が難しいため、国外3都市で実施することとなりました。私も9月に行われたバンコクの大会に参加してきました。海外旅行は2019年夏以来、3年ぶりです。

     

    中国企業がバンコクでイベントを開いた理由は?

    私がバンコクに渡航した9月中旬は、日本、タイともに入国規制が緩和されたタイミングでした。日本への入国はワクチン3回接種、タイへの入国は2回接種で陰性証明書が不要になり、入国手続きが大幅に簡略化されました(そして実際は、タイ入国時はワクチン接種証明の確認もありませんでした)。

     

    ただ、参加した中国企業のイベントは独自に抗原検査を実施しており、前日に陰性と確認されたら緑色のQRコードが発行され、入場できる仕組みとなっていました。街中のレストランや観光地では、消毒や検温といった日本でよく見られる対策はほとんどなかったため、このイベントが一番厳しかったです。

     

     イベント前日に抗原検査を行い、陰性が確認されたら入場に必要なQRコードが発行されます。

     

    この企業が展開する技術は目に見えにくく、言葉だけで伝えるのも難しいので、海外に場所を移してもオフラインでイベントを開催したかったようです。

     

    主催する中国企業の幹部は本社のある深センからオンラインで参加し、アジア太平洋地域からの参加者は会場に来るというちょっと不思議な枠組みでしたが、感染症流行から2年半を経て、参加者も違和感を感じなくなっていたように見えました。

     

    バンコク開催とあり、マレーシア、カンボジア、インドネシアなどASEAN地域からの参加者が多く、久々(人によっては初めて)の海外渡航に、全体として高揚感がありました(私もです)。国内に来てもらえないから入国しやすい海外で大規模イベントを開催しようという発想は、中国企業ならではかもしれません。

     

    ようやく人が戻ってきた観光地

    タイは観光立国としてインバウンドに注力しており、日本人の人気旅行先です。私も大学の卒業旅行、社会人時代の2009年と過去に2度同国を訪れました。当時と大きく変わったことは、中国の経済成長で2010年代後半から中国人旅行者が日本人を上回る勢いで増えていることです。宿泊したのは日本の鉄道会社の所有で、日本人客が多いホテルでしたが、日本語を話せるスタッフはおらず、代わりに中国語ができるスタッフがいました。

     

    日本も東京五輪需要を見込んで多くのホテルが開業したものの、コロナ禍でインバウンドが壊滅し、観光産業は苦境が続いています。おそらくタイも、日本人と中国人が来られなくなり、マッサージ店や観光地近くのショップは大きな打撃を受けたことでしょう。ホテル周りのレストランもシャッターが閉まっているお店が少なくありませんでした。

    ワット・ポー、ワット・プラケオ近くに2019年に開業した駅。訪れたのは日曜日でしたが、人は多くありませんでした。

     

    滞在中の空き時間にバンコクの著名寺院、ワット・プラケオとワット・ポーを訪問しました。以前はタクシーか船でしか訪れることができなかったのですが、2019年に地下鉄の駅が開設され、一気にアクセスしやすくなりました。地下鉄開通間もなく新型コロナウイルスの感染が拡大したため、旅行者にはあまり使われていなかったのでしょう。3年経っても構内はぴかぴかでした。地下鉄駅から寺院までの道、寺院も観光客は少なかったですが、それでも「ようやく人が戻ってきた」のかもしれません。

     

    日本人にとっては昨今の円安も逆風ですが、自由に渡航できる日常が戻ってくることを願っています。

    (編集スタッフ・U)

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