【中国よもやま話】中国外務省報道官も注目するフィギュア・羽生選手人気の理由
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北京冬季オリンピック・パラリンピックで選手たちの熱戦が続き、テレビにくぎ付けになっているファンも多いでしょう。2021年の東京大会では体操や卓球で日本と中国の選手が白熱した戦いを繰り広げましたが、北京大会でも日中両国の選手がメダルを争う競技が多くあります。今回は開催地にちなんで、中国人に特に人気が高い日本人スポーツ選手を紹介します。
中国語堪能な愛ちゃん、石川選手は「国民の妹」
中国人に人気の日本人選手といって真っ先に思い浮かぶのは、元卓球日本代表の福原愛さんです。中国人コーチに卓球を学んだ福原さんは、「東北訛りの中国語」を話し、2008年には日本を訪れた中国の胡錦濤国家主席と早稲田大学で卓球の対戦をして大きな話題になりました。この頃、福原さんは「中国で最も有名な日本人」だったと言っても過言ではありません。
東京オリンピックの卓球の試合の中継で福原さんが解説を行った際には、中国のSNSで試合よりも注目され、「久しぶりに見たが元気そうだ」「色白で相変わらず変わっていない」とコメントが殺到しました。
石川佳純選手も、福原さんに劣らぬ人気を集めています。石川選手も中国語が堪能で、ネットでは中国語でインタビューに答える動画が数多くシェアされています。また、男子シングルでリオデジャネイロ、東京と2大会連続で金メダルを獲得した馬龍選手（中国）の「妹」的な存在として知られており、馬・石川の混合ダブルスを見たいという声も絶えずあります。
日本の卓球のレベル向上は目を見張るものがあり、水谷隼人選手、伊藤美誠選手のように卓球王国・中国と互角に近い戦いができる選手も現れました。中国の卓球ファンも日本人選手に対しては複雑な思いを抱いているようですが、石川選手については、中国メディアが「こんな可愛らしい女性を嫌いな人はいますか？」と報じるなど、特別な存在のようです。
強さと優しさ兼ね備えた羽生選手
同じく中国人に高い人気を誇るのが男子フィギュアスケートの羽生結弦選手です。福原さん、石川選手が「広く」愛されているのに対し、羽生選手は「熱狂的な」ファンを多く抱えています。
中国の著名コメンテーターは羽生選手を「顔は翡翠のようで、立ち姿は松の木のよう」と絶賛し、現地メディアは「福原愛に続き中国人に自国のアスリートと思わせることができるのが羽生結弦だ」と報じました。
福原さん、石川選手の中国での人気ぶりは、分かりやすい理由があります。中国の国技とも言える卓球選手で、かつ2人とも中国語が流暢なため、実力だけでなく人柄も伝わりやすいからです。では羽生選手は、なぜそれほど支持されているのでしょうか。
現地ファンによると、王子様のような立ち振る舞いと競技での圧倒的な実力に加え、リンク外で見せる強さ、優しさが中国人を魅了しているそうです。
2014年のソチ五輪で金メダルに輝いた羽生選手は同年11月、上海で開かれたグランプリ（GP）シリーズ中国大会に出場しました。フリーの直前練習中、羽生選手は中国選手と正面衝突し、顔面からリンクにたたきつけられ流血しましたが、周囲が棄権を勧める中、けがをおしてフリーに挑み、5回転倒しながら最後まで滑りきりました。
2017年の世界選手権の男子シングル表彰式では、優勝した羽生選手が3位の金博洋選手（中国）の掲げた中国国旗が表裏逆になっているのに気づき、直すのを手伝っている様子が中国のテレビに映り、大きな反響を呼びました。
北京オリンピックの男子シングルは2月8日のショートプログラムに続き、10日にフリーが行われ、羽生選手は前人未踏の3大会連続金メダルに挑戦します。
新型コロナウイルスの感染が収束せず、北京オリンピックのチケットの海外販売を見合わせた後には、中国外務省の華春瑩報道官がTwitterで「羽生結弦選手のファンの皆さまへ『現地応援は中国の皆さんに託す』との声を目にしました。お任せください！」と呼びかけました。
現地での観戦はかないませんが、羽生選手をはじめ選手たちが全力を出しきれるよう、私たちも精いっぱい応援しましょう。
