【中国よもやま話】「ガチ中華」ブームで注目、年末年始は火鍋で温まろう

2021.12.14
  • 「ガチ中華」が日本でブームになっています。緊急事態宣言が明けた10月以降、毎日のようにテレビの情報番組でも特集され、池袋の「ガチ中華」フードコートは若い日本人女性で満席になったという話もあります。中華そばや炒飯を出す「街中華」に対し、本場の中華を出すのが「ガチ中華」。今回は、ガチ中華の中でも冬の王道、定番と言える「火鍋料理」を紹介します。

    体が温まる火鍋は冬の定番料理です

     

    「火鍋=辛い」わけではない。多様な食材とスープ

     火鍋は冬の定番中の定番とも言える伝統的な中国料理です。大きな鍋に肉、海鮮、野菜を入れて食べるので、人数が多いほど多種類のスープ、具材を味わえます。最もポピュラーなのは、香辛料をたっぷり入れた赤いスープと羊肉の組み合わせ。だから火鍋=辛いというイメージを持たれがちですが、スープは「麻辣」「キノコだし」「鶏ガラ・魚介だし」「トマト」など多様で、辛いものが苦手な人も安心です。

     

    火鍋の起源は羊肉料理が発展している内モンゴルとも激辛料理が伝統食の四川省とも言われますが、はっきりとは分かっていません。とは言え、著名なチェーン店は内モンゴル、四川省の企業であることが多く、日本に進出しているお店も大半が四川火鍋を名乗っています。

     

    鍋の形は大きく、「北京式」「四川式」に分かれます。とんがり帽子のようなタジン鍋に肉を入れて、しゃぶしゃぶのように短時間火を通して食べるのが北京式。対して四川式は、鍋の内側が2、3つに仕切られていて、複数のスープを一度に味わえるタイプが主流です。

     

    日本でも火鍋を食べられるお店が増えてきましたが、ふらっと入るにはまだ敷居が高いと感じる人には、以下の3つのチェーン店をお勧めします。日本語メニューがあり、海底撈火鍋(カイテイロウ)と小肥羊(シェオフェイヤン)はランチセットも用意されています。

     

    日本でも気軽に食べられる火鍋のお店を紹介します。

    海底撈火鍋では変面ショーも実施されます

     

    ① 海底撈火鍋

    海底撈火鍋は中国の「火鍋レストランランキング」で常にトップに立つ業界最大手です。創業者の張勇氏が1994年に四川省で始めた個人経営のレストランは、SNS時代に入ると店内でのパフォーマンスや優れた接客が広く知れ渡り、2018年には香港証券取引所に上場しました。

     

    日本では2015年に東京・池袋に進出したのを皮切りに、千葉、神奈川、大阪、福岡などに店舗があり、中国人に「お勧めの火鍋店教えて」というと、真っ先に名前が挙がるチェーン店です。四川式火鍋を味わうだけでなく、中国の伝統芸能「変面ショー」も楽しめ、宴会にもうってつけのレストランです。

     

     

    ② 小肥羊

    「草原都市」として知られる内モンゴル・包头市で生まれた小肥羊は、中国で最も早く成長した火鍋チェーンです。2000年代、中国のチェーン店と言えばマクドナルドやケンタッキーの独壇場でしたが、小肥羊は果敢に規模拡大し、海外進出にも積極的でした。

     

    日本への進出は2006年で、今では首都圏、関西、中部、北海道、沖縄で約20店舗を運営しています。お店の名前の通りラム肉が看板で、「麻辣」、鶏がらや魚介でだしを取った「白湯」の2種類のスープを味わえます。

     

    小肥羊のECサイト(https://direct.hinabe.net/)では鍋とスープ、漢方食材がセットになった「火鍋セット」を販売しており、自宅火鍋を楽しみたい人にも対応しています。

     

     

    ③ 譚鴨血(タンヤーシェー)

    譚鴨血は2018年に四川省・成都で1号店を出店し、火鍋チェーンの中では新顔ながら、短期間で急成長。今は中国本土で約600店舗を展開しています。日本にも2020年に進出し、東京・新宿、池袋、上野に店舗があります。

     

    海底撈火鍋と小肥羊は日本に店舗を構えるのが比較的早く、中国人だけでなく日本人消費者を主要ターゲットとしていたので、メニューがかなりローカライズされているのですが。その後、東京・池袋、高田馬場などに中国人のために料理を提供する「ガチ中華」が増えたことを反映してか、譚鴨血は日本人になじみのない本場メニューがたくさんあります。その代表が店名にもなっている「鴨血」で、鴨の血をプリンのように固めた食材です。他にも牛の血管、鴨の舌など珍しい食材を食べることができます。

     

    こちらで紹介した3つのチェーン店はいずれも中国では知らない人がいない有名店ですが、個人経営の火鍋料理店も多くあり、日本でも気軽に食べられるようになりました。野菜をたくさん摂ることができて、体が温まる火鍋。優しい味わいの「白湯スープ」は子どもにも人気です。年末年始に家族や友人たちと囲んではいかがでしょうか。

     

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